ある文系研究者の日常

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という本がある。原題はむちゃくちゃ長いので、この名前で通っている。東西交渉史にかかわるタームを由来からたどって解説した本で、前近代東南アジア史のみならず必携の書物なのだが、長らく絶版であった(Amazonで調べると古本で15000円近くする)。

これのペーパーバック版が発売されるという話を知ったのは一昨年の3月のことだった。喜び勇んでアマゾンから予約購入の手続きをしたのだが、その後音沙汰がさっぱりなく、いつだったか予約もキャンセルされてしまい悔しい思いをしていた。

先日、後輩のY本氏から「どうなってるんですかねぇ?」と聞かれて気になったので再びアマゾンにアクセスしてみたら3月1日発送可能で予約を受け付けていた。期待しないで予約するかと思っていたら、よく見ると1996年版のペーパーバックが900円弱で売ってた(そんな時期に出されていたことも知らなかった)。しかも新品。急いでそちらを注文する。これで2006年版に増補・改訂があったら目も当てられないが、さてさてどうなることやら。

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本日(というか昨日か)は科研の研究会に参加。待兼山大学では普段聞けない前近代インド史の話。非常に勉強になった。この研究会、レベルが高いだけでなく視野の広い報告が多いので毎回得した気分になれる。みんな忙しくて参加者が少ないのが本当に残念。今年度はもうありませんが、せっかく自校でやっているのだから、待兼山大学の諸氏も専門違いなんて気にせずにどんどん来て欲しい。オススメです。

今回の報告ではセデスの偉大さを再認識、というかインド学・インド史研究の視点・成果から東南アジア古代・中世史を見直す視点の重要性を痛感した。東南アジアのインド化はインド亜大陸内でのハイカルチャーの地理的拡散と完全に並行している。世界的に東南アジアプロパーからサンスクリット使いが絶滅しつつある現状は本当に憂慮すべきだ。

あとは武力攻撃はするけれども略奪もしないし屈服も求めずに撤退(解放)し、結果的にこちらの意向に従わせるするというグラハナモクシャgrahana-moksaなる観念が非常に興味深かった。またインド諸王朝では基本的に貿易港に首都を置かないという話が、討論を通じて実は世界的にかなり言えるのでは?と展開したのも異分野相互乗り入れの成果。確かに冷静に考えてみると、ある程度以上の規模の国家では難波宮、アユタヤ、イスタンブルくらいか。

それにしてもインドでは「マンダラ」に地方行政単位としての用法もあるというのにはぶっ飛んだ。そんなことも知らないでマンダラ論を説明する自分を省みて…。

終了

非常勤の今年度最終日終了。あとはテストだけ。受講生がそれほど多くないので、採点もそれほど厳しくは無かろう(それはそれで問題だが…)。

とにかく何事も初年度は疲れる。塾講師を数年やっていたし講義形式なので応用が利くかと思っていたが、違う部分も思いのほか多かった。改善点は無数にあって受講生に申し訳ない部分も多々あるのだが、凡才は経験しないと分からないところも多いんです、と言い訳しておきます。

何はともあれ、金曜5限というとんでもない時間帯なのに受講してくれて、携帯ならしたり私語を始めたりなんて事が皆無だったのは感謝感謝。試験頑張ってください。

『国際政治事典』落手。

私も5項目ほど書かせてもらった。いちおう【宣伝】とタイトルには付けておいたが、既に原稿料を貰っているので、これを読んだ誰かが買ったとしても特に私が儲かるわけではなかったりする(↑のアマゾンのリンクを経由して購入した場合は、私に幾ばくかのお金が入ります。でも大学生協で買った方が多分安いですね)

コーディネーターのY本さんからは意識的に若手を集めたので、アグレッシブに書いてくれ(やや意訳)と言われたが、狭義の専門とかぶる項目はなく、歴史の事典でないことへの配慮も必要だったので、あまり踏み込んだことは書けなかった。また字数も多くなかったので記述を切りつめた結果、不正確な記述になってしまった部分も正直ある。少なくとも「チャンパ」についての拙文には以下の訂正・補足が必要です。ごめんなさい。

  • (1)林邑とチャンパとの連続性には考古学的成果から見て疑問の余地があり、チャンパの前身を林邑と断言したのは不適当だった。
  • (2)王朝の存続年代を西暦192年からとしたが、これは中国史料に全面依拠したもので、林邑の建国年代と一応されているが再考の余地が残っている。林邑~チャンパの連続性は目をつぶったとしても「192頃」くらいが適当か。

別の事典の計画も動き始めたようだが、こちらはもっと大変そうな気配で先が思いやられる。

過日案内した東南アジア史学会関西例会&阪大歴史教育研究会(共催)に行ってきた。センター試験当日だというのに今までにない人出にたいへん驚いた。

桃木先生の報告は山川の『詳説世界史』の解説。どこが変わって、どこが依然として拙いのか、そしてその間違いの背景・原因は一体何なのか?といった話。本人も強調したように報告そのものよりも資料の方にリキが入っていたわけだが、短い時間で読み切るのは難しかった。これを元にして今後の議論が深まればと思う。「受験での位置づけが低いからと東南アジア史を教えないという選択は理解できないこともないけど、もし教えるのならこの程度の知識を持った上でやって欲しい。」との言は意識の高い参加者の前だからこそ言えるセリフではあるが、思い切ったものである…。

大塚先生は「学問的正確さなど正直どうでも良い。生徒にどう分かりやすく伝えるかだ。」と挑発的な言葉で口火を切ったが、近年の研究動向にも配慮した前近代東南アジア史の時代区分が披露された。東大組対象とはいえ、これを90分で(!)教えるんだそうだ。もっと詳しくやっているとはいえ、こちらは通年で20回以上かけてほぼ同じ範囲を教えている。これを90分に縮めろとか言われたら多分絶望するだろうな…。

H-SEASIAより

HPAIR CONFERENCE 2006

FINAL APPLICATION DEADLINE: March 15th, 2006

The Harvard Project for Asian and International Relations (HPAIR) invites you to participate in our annual summer student conference in Asia.

HPAIR is a partnership between the students and faculty of Harvard University, offering a sustained academic program and a forum of exchange to facilitate discussion of the most important economic, political, and social issues relevant to the Asia-Pacific region.

HPAIR's international conference has emerged as the largest annual Harvard event in Asia and the largest annual student conference in the Asia-Pacific region, attracting a wide variety of distinguished speakers and future leaders as Harvard's student outpost in Asia. Past speakers at our conferences include South Korean President Kim Young Sam, Governor General of Australia Peter Hollingworth, Singapore President S.R. Nathan and Malaysian Prime Minister Mahathir Mohamad.

Both delegates and papers are welcome! Applications for both are online and located at www.hpair2006.org.

The theme will be Redefining Asia: Visions and Realities

WORKSHOP TOPICS

Our HPAIR 2006 workshops will focus on the following six topics:

  • The Political Economies of China and India: Trends, Trade and Tomorrow's Asia
  • Environmental Management in Asia: Writing Tomorrow's Textbooks Now
  • Diseases and Disparities: Improving Health Outcomes for All
  • Impersonating Asia: Performing Arts and Film in Contemporary Perspectives
  • Boundaries in Flux: Religion, Nation, and Identity in Asia
  • War, Domestic Conflict, and Interdependence: Peace and Security in East Asia

MORE INFORMATION

To learn more about the HPAIR 2006 conference, please go to www.hpair2006.org

今週初めから福岡に出張してきた。研究会自体は非常に有益、大変勉強になった。スン・ライチェンさんからしきりにシンガポールにポスドクとして行けと勧められたのだが、これは正直迷っている。まともに論文書こうと思うと200kgをゆうに超える書籍をもって引っ越さなければならない。一体いくらかかるんだ!?

また、九州国立博物館へも初見参。数日前に腰を痛めたばかりのH本さんが長時間に亘って案内をつとめてくださった。裏話もいろいろと聞けてむっちゃ得した気分。感謝感謝。しかし、さすが国立博物館、かなりお金かかってます。それだけに見応えも十分。展示も工夫が凝らされている。ただ山中先生も仰っているとおり「何故この壺が11世紀のものだと言えるのか」といった説明(もちろん簡単には言えないのは分かるけど)が乏しいのは他の博物館に同じく問題だと思う。

科研「近代世界システム以前の諸地域システムと広域ネットワーク」研究会

日時:1月28日(土) 13:30~16:00
会場:大阪大学豊中キャンパス 文学研究科本館2F 東洋史演習室
報告:三田昌彦(名古屋大学文学研究科)「インド中世社会形成期国家をめぐる諸問題」

インドネシア近世港市遺跡調査報告会

趣旨:

インドネシアの代表的近世港市遺跡バンテン・ティルタヤサ遺跡とブトン・ウォリオ城跡について、バンテン遺跡研究会はインドネシア国立考古学研究センターと共にこれまで10年以上の共同調査を実施してきた。その中で、2005年度調査(11・12月実施)ではこれまでにない大きな成果を上げることができたが、一方で遺跡の保存活用に関わる新たな問題に直面せざるをえないことになった。

ジャワ島のバンテン・ティルタヤサでは、中心の離宮跡から離れた運河跡で17世紀後半のレンガ造水門跡群を発見した。それは離宮跡をはさんで少なくとも2ヶ所に築造された高さ4mの大規模な構造物であり、単純な潅漑施設とは見なし難いものである。機能はまだ解明できていないが、この遺構群はバンテン王国最盛期における海岸平野開発の企図を探る重要な鍵を握ると共に、近世東南アジアの在地水利システムの理解に大きな資料を提供するとも言える。

一方、スラウェシ島のブトン・ウォリオ城跡は、沖縄のグスクにも似たインドネシアでも最大規模の大城郭である。今回の調査では平坦な自然地形をなす西側と南側の城壁外に大きな堀が巡らされていることが明らかになった。そしてそこでの試掘から、ヨーロッパ輸出向け様式の伊万里鯉滝登り文大壷が出土した。ウィーンのマリア・テレジア関連コレクションでしか見られない18世紀前半の伊万里の出土は、陶磁貿易におけるブトンの重要性を改めて証明することになった。

調査成果とは別に、住民にとっての遺跡保存の意味が両遺跡とも大きな問題になっている。ティルタヤサでは中心の離宮跡は村の共同墓地として使われ続けており、地下の遺構はほとんど壊されてしまっている。ウォリオ城跡では城内に千人ほどの住民が住み続けており、城壁修復や観光開発は必ずしも彼らの賛同を得ていない。両遺跡が直面する問題は、インドネシアの文化遺産が直面する困難な状況の縮図とも見ることができる。

以上の点を軸に、2005年度調査成果を映像をまじえながら報告したい。

期日:2月17日(金)午後1時30分~5時
場所:福岡市埋蔵文化財センター(福岡市博多区井相田 博多駅よりバス約15分 092-571-2921)
主催:バンテン遺跡研究会・福岡市埋蔵文化財センター
入場無料(事前申し込み不要)
内容:
13:30 開会あいさつ
13:40/14:20 稲垣正宏(国際航業文化財調査室)「ティルタヤサ遺跡のスジュン水門跡」
14:20/15:00 野上建紀(佐賀県有田町教育委員会)「ウォリオ城跡出土の伊万里大壷」
15:10/15:50 瀧本正志(福岡市教育委員会)「両遺跡の調査経過と成果」
15:50/16:30 坂井 隆(上智大学アジア文化研究所客員研究員)「両遺跡の保存と住民」
16:30/17:00 質疑応答
備考:閉会後、懇親会を行ないます。参加希望者はご連絡をお願いします。

懐旧

昨晩は留学時代の戦友S女史が転勤した同僚を訪ねて関西に遊びに来たきたので迎撃。約5年ぶりの再会。同じく留学時期が同じだったKさんも合流するが、殆ど会ったことがなかったので顔を思い出せなかった。ごめんなさい。むこうはこの5年で社会人になり大人びてきたが、こちらは相変わらず学生気分の抜けないポスドク。すっかり立場が逆転してるよ。懐かしさもあってついついマニアックな留学昔話になってしまったけど、同僚のHさんとYさんが聞き上手で話を合わせてくださり感謝感謝。その後、梅田に場所を移してやはり留学時代の戦友T氏と合流するも、今度はT氏が私のことを忘れていた。因果はめぐる…。久々に20代の日々を思い出しつつ痛飲。とても楽しかった。

このところご無沙汰だが大河ドラマ。いつからか定かではないが、兄弟相克・父子相克などホームドラマ路線になってから急速に興味を失った。

その一方で、何故ベトナムのテレビ局は大河ドラマを作らないのか不思議で仕方がない。映画だとあるのかもしれないけど、聞いたことない。ハイバー・チュンからはじまって阮文恵まで枚挙に遑ない歴史的人物が居るのに…、もったいないぞ。たいていは対中救国話になるのでセンシティブな要素もゼロではないが(最近もトンキン湾の領海確定をめぐって大揉めしてたし)、香港あたりから回ってきたB級中国活劇にみんなはまってるんだから絶対受けると思うんだけどなぁ。後は中南部限定で嘉隆帝とか(笑)

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